【バイリンガル・マルチリンガル教育③洗脳する三歳児】英語環境と息子の問題行動
入園から3か月ほどたったある日、担任の先生だけでなく園長先生まで同席した緊急の個人面談の場がも設けられ、私と夫が幼稚園に呼び出されました。
お宅のお子さん、お友達をマインドコントロールしてます
「外国語圏のお子さんが、突然の外国語環境に戸惑って問題行動を起こすのはよくあることで極めて普通です。私共もプロとして対処の仕方は心得ています。しかしながら息子さんは、言葉が全く通じないにもかかわらず、周りにいる子供たちをマインドコントロールしています。私たちも長いことこの仕事についていますから、自分でいたずらや悪さをして大人を困らせる子供は数えきれないほど見てきました。でも、他人を巧みに操る3歳児はいまだかつて見たことありません。」
発達障害か高IQか2Eか
発達障害や極端な高IQの可能性も含め幼稚園で対応できる範疇を超えているから、一度専門家に診てもらった方がいい、というお話でした。
まさかのマインドコントロールとは私たちもさすがにびっくり。
そして先生がたは、とっても慎重なご様子。
なぜなら、学校に呼び出されて、「発達障害」のフレーズが出てくると、怒り出す親御さんが多いから。
特に日本人で日本の学校から突然インターに転校してきた場合などは、言葉の壁に苛まれて荒れてしまう子もいるようで、そうなると言葉のせいで荒れているのかそれが特性なのか判断できない場合があって、とりあえず専門家に相談してみたら?と言われ、「うちの子は普通です!」とキレてしまう日本人ママの話をちらほら聞きました。
私としては、特性があるかもしれない、ってのは、マイナスばかりでなく、もしかしたら隠れた素晴らしい才能を発見できてそこを理解して伸ばしてあげられるチャンス、という風にとらえていました。
専門家に診ていただければ、もっといろいろなことがクリアになるかもしれない。
ある意味願ったりかなったりなので、先生方のご意見に異論なし。
揉めることもなくスムーズに話は進み、園長先生のお知り合いのサイコロジストを紹介していただくことになりました。
試しに英語にしてみましょう
と、その時、担任の先生が、
「ところでおうちでは何語をしゃべっていますか?」
と振ってきたので、母国語を大事にしたいからそれぞれの母国語でしゃべっています、と我が家の言語環境をお伝えしました。
「それはとっても素晴らしいことです。バイリンガル・マルチリンガルのご家庭の場合、子供のアイデンティティや思考力を育てるためにも母国語は非常に大事ですよね。だから大賛成です。私たちも通常は、幼稚園生活が英語環境でもおうちではご両親の母国語で話しかけてあげるようにお勧めしています。しかしながら、息子さんの場合は通常のケースに当てはまらないかもしれません。試しに、息子さんと一緒にいる時間の長いお母さま側はアイデンティティーの確立のためにもそのまま日本語で、お父さま側だけ一度英語環境にしてみませんか。」
この何気ないご提案が運命の分かれ道。
母国語第一主義を信じ、固く誓って守ってきた我が家の教育方針を根底から覆えさなければなりません。
でも、園長先生も賛成で、
「英語を話せるようになったらまたタイ語に戻せばいいですし、やってみる価値はあるとおもいますよ。」
とおっしゃるし、そうか、少しの間なら問題ないだろう、とあっさり同意。
ちなみに、夫は生粋のタイ人ですが、育ての親にあたる人がニュージーランド人です。